人民元の源流は、国共合作時代の1928年まで遡ると考えられています。当時の元は共産党が発行した独自通貨であり、極めてローカル色の強い通貨でした。
戦後、中国共産党が把握している地域において、中国人民銀行が人民元を発行し始めました。これが本格的な国家通貨としての人民元のスタートです。
しかし、中国の内戦などによってインフレーションが発生、1949年以降高額紙幣が乱造されるようになります。1953年には5万元札まで発行されました。
この窮状を前に1955年には通貨切り下げ、いわゆるデノミネーションが行われました。このデノミによって、中国の通過は一応の安定を見たわけです。
しばらくは安定していた人民元ですが、中国の経済成長が急進するに従って、また不安定要素となりました。
中国の経済は成長しているのに、外国為替との相場が共産党によって固定されていたため、ひずみが生じていたのです。
これを是正するために行われたのが人民元の切り上げです。これは、簡単に言えば固定レートから変動レートへと移行すると言うことを指しており、これによって中国はますます国際競争力を持つようになりました。
現在は、管理フロートと呼ばれる為替相場決定が行われており、実情に合わせた運用が行われています。国際基軸通貨としてのドルの価値が徐々に下がりつつあり、ユーロも不安定な今日、基軸通貨の多極化が叫ばれています。
もしかしたら、近い将来には人民元が国際基準通貨の一つになっているのかもしれませんね。